アルコール依存症について

アルコール依存症は、「お酒をやめたくてもやめられない」状態が続く病気です。 単なる「飲みすぎ」や「意思の弱さ」ではありません。 脳の働きがアルコールに依存するようになり、自分の力だけで飲酒をコントロールできなくなる状態を指します。 誰にでも起こりうる病気であり、仕事をしている方や家庭を持っている方の中にも多くの患者さんがいます。 放置すると心身に深刻なダメージを与える可能性があるため、早めの受診が大切です。

主な症状
アルコール依存症の方にみられる主な症状は以下のとおりです。 •飲み始めると止まらない •飲酒の量やタイミングを自分で調整できない •飲まないと手が震えたり、イライラしたりする(離脱症状) •飲酒が原因で、仕事や家庭生活に支障が出ている •家族や周囲から指摘されても、飲酒をやめられない 初期の段階では「なんとなく毎日飲んでしまう」「飲む理由が自分でもわからない」といった曖昧な症状から始まることが多く、自覚しにくいのが特徴です。

治療の基本方針と使用される薬
治療の目的は「ただ断酒すること」ではなく、飲酒の衝動に振り回されず、自分の生活を立て直すことにあります。 そのためには、まず現状を正確に理解し、本人のペースに合わせた治療計画を立てることが重要です。 当院では、通院しながら治療に取り組む外来診療を基本としています。急性期や重度の離脱症状がある場合を除けば、多くの方が日常生活を続けながら治療を進めています。 薬物療法は、再飲酒を防いだり、飲酒欲求を抑えるために使われることがあります。 主に次のような薬が用いられます。 抗酒薬:飲酒時に体調不良を引き起こし、飲酒を避けさせる。 断酒補助薬:脳の報酬系に作用し、飲酒欲求を軽減するこれらの薬は、症状や生活状況に応じて使用され、副作用としては眠気、吐き気、頭痛などが出る場合があります。 いずれも医師の診察と処方のもとで、安全に使用されます。

日常生活での支援と予防的アドバイス
依存症の治療には、生活全体の見直しも欠かせません。 飲酒につながるきっかけ(ストレス、人間関係、孤独など)にどう対応するかを考えることが、再発予防につながります。 当院では、医師が診察の中で、患者さんの生活背景を聞き取りながら、お酒を飲まないための具体的な工夫や行動計画についてアドバイスを行っています。 通院の継続が、日常生活を安定させるうえで大きな助けになります。

当院での対応について
当院では、アルコール依存症の患者さんに対して、症状の段階に応じた丁寧な治療と支援を行っています。 •薬物治療は、効果と副作用のバランスを重視しながら丁寧に調整します •症状が強く休職が必要な方には、診断書を即日発行できる場合があります •平日は夜22時まで、土日祝も19時まで診療しており、通院の負担を軽減できる体制です •お仕事や家庭の都合で通院が難しい方には、オンライン診療にも対応しており、スマートフォンやパソコンからご相談いただけます。 「病院にかかるほどではない」と感じていても、それがすでに治療のサインかもしれません。