適応障害について

仕事が急につらくなった、人間関係に強いストレスを感じている、転職・転勤・入学などで生活が大きく変わった。 そのような「環境の変化」や「心の負荷」がきっかけで、気分が落ち込んだり、やる気が出なくなったり、体調を崩したりすることがあります。 それは、「適応障害」という病気かもしれません。 適応障害は、ストレスに対してこころや身体がうまく順応できず、さまざまな精神的・身体的な不調が現れる状態です。 ストレッサーとなる原因が比較的はっきりしており、早期に適切な対応を行うことで改善が期待できる疾患です。
適応障害とは?

適応障害とは明確なストレス要因があって、 たとえば、次のようなケースが該当することがあります。 ・異動後、上司との関係に悩み、仕事に行けなくなった ・大学進学後、孤独感が強まり、不安や無気力が続いている ・離婚や介護など家庭内の変化に心身が疲れきってしまった ・ストレスの程度は人によって異なり、「他の人なら平気でも、自分にはつらい」と感じる出来事が適応障害のきっかけになることもあります。
主な症状
適応障害の症状は、こころと身体の両面に現れます。以下のような特徴があります。
精神面の症状
・気分の落ち込み、不安感 ・涙もろくなる、イライラする ・意欲の低下、集中できない ・不眠、過眠 ・人との関わりを避けたくなる

身体面の症状
・倦怠感、頭痛、めまい ・胃の不快感、食欲不振 ・動悸、息苦しさ これらの症状が、ストレスの原因が続いているあいだ強く出て、原因がなくなると徐々に軽くなるのが特徴です。ただし、放置していると、うつ病や不安障害に移行する場合もあるため、早めの相談が重要です。
うつ病との違い

うつ病と似た症状が出るため、混同されることもありますが、次のような点で区別されます。 適応障害は、特定のストレス因に対する反応として発症する うつ病は、原因が明確でない場合や、ストレスがなくなっても症状が続くことが多い 診断は、医師が丁寧な問診を通じて、症状の出方や背景を総合的に判断します。6か月以上症状が継続する場合は、適応障害から他の状態に移行したものと判断することが多くあります。
治療について
適応障害の治療では、ストレスへの対処を中心に、薬物療法を必要に応じて併用します。
環境調整・休養
・ストレスの原因から一時的に離れることが有効な場合があります。 ・必要に応じて、休職や勤務軽減の診断書をご提案することもあります。

薬物療法
・不安や不眠が強い場合には、抗不安薬や睡眠薬を短期間使用することがあります ・抑うつ症状が強い場合には、抗うつ薬(SSRIなど)を用いることもあります ・状態を見ながら、必要最低限の量と期間で調整していきます
心理的支援
・現在のストレスをどう捉えているか、自分の考え方の癖に気づくことが、回復の助けになります ・状態によっては、認知行動療法などが有効です
当院での対応について
当院では、適応障害のご相談に対して、安心して話せる環境と、生活背景に合わせた柔軟な対応を大切にしています。 ・仕事や家庭、人間関係などのご事情を丁寧にうかがい、オーダーメイドの治療方針をご提案します ・必要に応じて診断書を発行可能で、内容が明確な場合は即日での発行にも対応しています ・状態に応じて、無理のないペースでの通院やお薬の調整を行います ・お仕事や家庭の都合で通院が難しい方には、オンライン診療にも対応しており、スマートフォンやパソコンからご相談いただけます。 ・平日は夜22時まで、土日祝日は19時まで診療しており、忙しい方でも通いやすい環境です 「もっと頑張らなきゃ」「甘えてはいけない」と思ってしまう方ほど、心が限界に近づいていることがあります。 一人で抱え込まず、つらさを感じたら、どうか早めにご相談ください。