塗る?飲む?― 当院院長が教える“本当に効く”日焼け止めの話 ―

「紫外線って、夏だけ強いんじゃないの?」 …いいえ、紫外線は一年中あなたの肌をじわじわと老化させています。 春や秋の涼しい季節、あるいは曇りや雨の日、はたまた室内でさえ紫外線はゼロではありません。特にUVAは窓ガラスも通り抜け、知らぬ間に肌の奥へと到達して、しわやたるみの原因になります。 つまり、“紫外線対策=日焼け止め”は、季節も天気も問わず毎日欠かせない美容医療の基本なのです。

紫外線の種類と肌への影響
紫外線(UV)は大きく分けて3つありますが、私たちが注意すべきはUVA、UVBの2つです。 UVA(A波)は、波長が長く、肌の奥深く(真皮)まで届く。主にしわ・たるみの原因となる。 UVB(B波)は、波長が短く、肌表面に作用し日焼けやシミの原因となる。 もう一つ、UVC(C波)というのもありますが、これは地上には届きません(オゾン層が防いでくれています)。 つまり、UVAは長期的な老化、UVBは短期的なダメージを引き起こすもの。両方から肌を守ることが重要です。
日焼け止めのSPF・PAって、結局どれがいいの?

● SPFとは?
「Sun Protection Factor」の略で、UVBを防ぐ指標です。SPF1あたり、UVBを約20分防げるとされており、たとえばSPF30なら約10時間、SPF50なら約16時間程度の効果があります。 → ただし、これは“適量を塗った場合”の理論値です。汗や皮脂で落ちるため、2〜3時間おきの塗り直しが推奨されます。
● PAとは?
「Protection Grade of UVA」の略で、UVAを防ぐ強さの目安です。「+」の数が多いほど強力で、現在はPA++++が最高ランクとなっています。
塗る日焼け止めの選び方と正しい使い方
● 日焼け止めの種類
紫外線対策成分には「吸収剤」と「散乱剤」の2種類があります。紫外線吸収剤は、肌表面で紫外線を吸収し熱などに変えて放出する仕組みで、白浮きしにくいのが特徴です。ただし化学反応を伴うため、敏感肌の方には刺激になることがあります。 一方、紫外線散乱剤は紫外線を反射・散乱してブロックします。肌への刺激が少なく安心ですが、白浮きやきしみ、乾燥を感じやすい点がデメリットです。 当クリニックでは、肌にやさしい使用感を重視し、紫外線吸収剤を含まないノンケミカルの日焼け止めを推奨しています。
● 塗り方の基本
日焼け止めを効果的に使うためには、塗り方の基本を押さえることが大切です。まず、十分な量を二回に分けて、顔全体にまんべんなくなじませましょう。塗るときには、肌に合った適切なSPF値やPA値を持つ製品を選ぶことも重要です。 また、朝一度塗っただけで安心するのは禁物です。日焼け止めは汗や摩擦で落ちてしまうため、数時間ごとに塗り直すことが基本となります。外出先などで手軽に使えるスプレータイプの日焼け止めを併用すると、より簡単に紫外線対策ができます。
当院では、皆様のスキンタイプに合わせた日焼け止めをご提案いたします。
ぜひご相談ください。
飲む日焼け止めはどう効くの?本当に効果ある?

飲む日焼け止めはどう効くの?本当に効果ある?
「日焼け止めを塗るのが面倒」「塗り直しできないシーンがある」そんなニーズから生まれたのが、飲むタイプの日焼け止め(UVケアサプリ)です。
● 主な成分と効果
NutroxSun(ニュートロックスサン)は、ローズマリーやシトラス由来の成分で、肌の赤み・酸化ストレスを軽減。 ビタミンC・Eやグルタチオンは、美白・抗酸化作用が期待できるサポート成分も配合されることが多いです。
● 飲むだけで大丈夫?
いいえ、飲むだけで完全に紫外線を防ぐことはできません。あくまで「補助的」な役割であり、塗る日焼け止めと併用して初めて高い効果を発揮します。
● 飲む日焼け止めがおすすめなシーン
飲む日焼け止めは、屋外スポーツや海・山など塗り直しが難しい場面で特におすすめです。敏感肌で日焼け止めを肌に塗ると荒れてしまう方や、インナーケアで老化予防を意識する方にもおすすめです。
日焼け止め以外の紫外線対策

●物理的ブロックも重要!
UVカットの帽子・サングラス・日傘や、UVカット素材の衣服やアームカバー、車・室内の窓にUVフィルムが効果的です。
●アフターケアも忘れずに!
日焼け止めを塗っても、完全に防ぐことは不可能です。万が一日焼けしてしまったら、冷却・保湿・抗炎症のケアをすぐに。当院では、日焼け後の応急処置や美白治療のご相談も承っております。
未来の肌は、今の紫外線対策で守れる

紫外線は一年を通して降り注ぎ、肌老化の原因の約8割を占めるといわれています。そのため、日焼け止めは「塗る」「飲む」「遮る」の三段構えで取り組むのが理想的です。自分のライフスタイルや肌質に合った日焼け止めを選び、必要に応じて飲む日焼け止めを補助的に活用しましょう。さらに、塗る量や頻度、塗り残しやすい部位を見直すことで、“本気のUVケア”を日常に取り入れることができます。