解離性障害とは?記憶が飛ぶ・自分が自分ではない感覚の原因、症状、診断と治療を精神科が解説|港区麻布の精神科・心療内科|Family Total Healthcare Clinic AZABU

〒106-0045 東京都港区麻布十番2-14-11
ルート麻布ビル5F・6F

コラム COLUMN

解離性障害とは?記憶が飛ぶ・自分が自分ではない感覚の原因、症状、診断と治療を精神科が解説

解離性障害 公開日 監修:院長 池上恭司

「記憶が抜け落ちる」「自分が自分ではない」その症状は解離性障害かもしれません

「気づいたら数時間が過ぎていた」

「自分が話したことや行動したことを覚えていない」

「自分の身体を外側から眺めているような感覚がある」

「周囲の景色が現実ではないように感じる」

こうした経験が繰り返され、不安を感じていませんか?

単なる疲れや物忘れと思っていた症状の背景に、解離性障害(解離症)が関係している可能性があります。
解離性障害は、記憶、意識、感情、自分自身についての感覚などが、一時的または持続的にうまく結びつかなくなる精神疾患です。症状の現れ方は人によって異なり、周囲からは気づかれにくいこともあります。
今回は、解離性障害の特徴や原因、代表的な症状、診断方法、治療法、精神科を受診する目安について詳しく解説します。

解離性障害とは?「解離」が起こる仕組み

私たちは普段、記憶、感情、身体感覚、自分が自分であるという認識などを、一つのまとまった経験として感じています。
しかし、解離が起こると、こうした感覚のつながりが一時的に途切れたようになることがあります。
例えば、強いショックを受けた際に、目の前の出来事を現実ではないように感じたり、その場の記憶が部分的に曖昧になったりすることがあります。
一時的な解離に似た体験は、健康な方にも起こり得ます。
一方、症状が繰り返し現れ、本人に強い苦痛を与えたり、仕事、学校、家庭生活などに支障を及ぼしたりする場合には、解離性障害が疑われます。
解離性障害は、本人が意図的に記憶を消したり、症状を作り出したりしている状態ではありません。

解離性障害の代表的な症状

① 解離性健忘|特定の出来事を思い出せない

解離性健忘とは、通常の物忘れでは説明できない形で、自分が経験した重要な出来事を思い出せなくなる状態です。
例えば、強いストレスを感じた時期の記憶が抜け落ちたり、周囲の人から指摘されて初めて記憶の欠落に気づいたりする場合があります。
ただし、記憶障害には脳の病気、てんかん、薬物・アルコールの影響など、別の原因もあるため注意が必要です。

② 離人感|自分が自分ではないように感じる

離人感とは、自分の身体や感情、思考が自分のものではないように感じる状態です。
「自分を外側から見ている」「自動的に身体が動いている」「感情が遠くにある」といった訴えが見られることがあります。
本人は、こうした感覚が普段とは異なることを理解している場合が多いとされています。

③ 現実感消失|周囲の世界が現実に感じられない  

現実感消失では、周囲の人や景色が夢の中のように感じられたり、目の前の世界との間に膜があるように感じられたりします。
こうした症状は、強い不安やパニック発作などに伴って一時的に現れることもあります。

④ 解離性同一症|自己の感覚や記憶に大きな変化が生じる

解離性同一症(従来の解離性同一性障害)は、自己の同一性に不連続さが生じ、記憶の欠落などを伴う状態です。
映画やドラマでは「多重人格」として描かれることがありますが、実際の症状は複雑で、外見上わかりやすい人格の交代が常に現れるわけではありません。
本人が強い混乱や苦痛を感じ、生活に支障が生じる場合があります。

解離性障害の原因はストレスやトラウマ?

解離性障害の発症には、強い心理的ストレスや心的外傷(トラウマ)が関係することがあります。
事故、災害、暴力、虐待、強い恐怖体験などがきっかけになる場合がありますが、すべての患者さまに明確なトラウマ体験が確認されるわけではありません。
また、症状の成り立ちには個人差があり、ストレスだけで説明できるものでもありません。
解離は、耐え難い体験から心理的な負担を軽減する反応として理解される場合があります。
しかし、その反応が持続したり、日常生活に支障を及ぼしたりすると、専門的な評価や治療が必要になることがあります。

解離性障害とうつ病・PTSD・統合失調症との違い

解離性障害では、うつ病、不安障害、PTSDなどを併存する場合があります。
PTSDでは、つらい体験に関連する記憶や感覚が突然よみがえる「フラッシュバック」や、特定の記憶の欠落などが見られることがあります。
また、離人感や現実感消失は、パニック発作、強い不安、うつ病などでも生じる可能性があります。
解離症状の中には、幻聴に似た体験や自分自身に対する強い違和感が現れる場合もありますが、これらだけで統合失調症とは判断できません。
症状が似ていても、背景にある病気や必要な治療は異なります。
そのため、自己判断せず、精神科で症状の経過を詳しく確認することが重要です。

解離性障害はどのように診断する?

診断では、現在の症状、記憶が抜け落ちる場面、症状が始まった時期、日常生活への影響などを確認します。
また、睡眠、服薬状況、飲酒、過去の病歴などを確認することもあります。
記憶障害や意識の変化は、てんかん、頭部外傷、神経疾患、薬の影響などでも起こるため、必要に応じて身体的な検査や専門医療機関での評価を検討します。
解離性障害には、血液検査など一つの検査だけで診断を確定できる方法はありません。
本人の体験や症状の経過を丁寧に把握することが、診断において大切です。

解離性障害の治療法

① 安心して過ごせる環境を整える

症状を悪化させるストレスや生活上の負担を確認し、安全で安定した環境を整えることが重要です。

職場や学校、家庭での負担が大きい場合には、生活環境の調整も検討します。

② 精神療法・心理的支援

症状や本人の状態に応じて、支持的な精神療法や、トラウマに配慮した心理的支援などが検討されます。

治療では、焦って過去の記憶を思い出そうとするよりも、現在の生活を安定させ、安心して過ごせる状態を整えることが優先される場合があります。

③ 薬物療法

解離性障害そのものを直接治すことが確立された特効薬はありません。

ただし、うつ病、不安障害、不眠症などを併存している場合には、それぞれの症状に応じた薬物療法を検討することがあります。

薬の必要性は、診察結果を踏まえて医師が判断します。

症状が現れたときにできる対処法

離人感や現実感消失が現れたときは、安全な場所で休息し、周囲の状況をゆっくり確認することが役立つ場合があります。
例えば、足の裏が床に触れている感覚や、目の前に見えるものなど、現在の環境に意識を向ける方法があります。
こうした方法は「グラウンディング」と呼ばれます。
ただし、すべての方に合うわけではありません。
かえって不快感が強まる場合は無理に続けず、医師などに相談しましょう。

家族や周囲の人が気をつけたいこと

解離症状は外見からわかりにくく、周囲から誤解される場合があります。

本人の話を否定したり、無理に記憶を思い出させようとしたりすることは避けましょう。

症状が強い場合には、まず安全を確保し、落ち着いて対応することが大切です。

ご家族も対応に困っている場合は、専門機関へ相談することができます。

精神科を受診する目安

次のような場合には、精神科への相談をご検討ください。

  • 記憶が抜け落ちることを繰り返す

  • 自分が自分ではない感覚が続いている

  • 周囲が現実ではないように感じて不安になる

  • 症状によって仕事や学校に支障が出ている

  • 強い不安や不眠、気分の落ち込みを伴っている

一方、突然の意識障害、けいれん、片側の麻痺、ろれつが回らないなどの症状がある場合は、精神的な問題と決めつけず、救急医療を優先してください。

港区で解離症状にお悩みの方へ

「記憶が飛ぶことがある」「自分が自分ではないように感じる」「ストレスが強く、現実感が薄れることがある」
こうした症状が続いている場合は、原因を確認することが大切です。
Family Total Healthcare Clinic AZABUでは、精神科・心療内科として、不安、抑うつ、不眠、PTSDに関連する症状など、さまざまな心の不調についてご相談を承っています。
解離症状についても、現在の状態や生活への影響を伺い、必要に応じて専門的な検査や医療機関での評価をご案内します。

港区麻布・麻布十番、六本木周辺をはじめ、新宿・池袋・上野などから精神科をお探しの方も、ご相談ください。
記憶や現実感の変化を、誰にも理解されないまま抱え続ける必要はありません。
まずは今、何が起きているのかを確認することから始めましょう。