あなたは大丈夫?アルコールとの付き合い方|港区麻布の精神科・心療内科|Family Total Healthcare Clinic AZABU

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コラム COLUMN

あなたは大丈夫?アルコールとの付き合い方

依存症・パーソナリティ 公開日 監修:院長 池上恭司

お酒を飲むと別人のようになる。病的酩酊とは?・暴れる・記憶がない原因と危険性を精神科が解説

「お酒を飲むと別人になる」それは単なる酒癖の問題ではないかもしれません

「普段は穏やかな人なのに、お酒を飲むと突然怒り出す」

「飲酒後に暴言や暴力があり、翌朝には何も覚えていない」

「それほど飲んでいないのに、異常な興奮状態になる」

「家族から昨日の行動を聞かされても、まったく記憶がない」

このような経験はありませんか?

飲酒後に性格が変わったような言動を繰り返す状態は、一般的に「酒癖が悪い」「酒乱」などと表現されます。しかし、酔い方が極端に変化し、意識の混乱や記憶の欠落を伴う場合には、医学的な評価が必要です。

その一つとして知られているのが、病的酩酊(びょうてきめいてい)という状態です。

飲酒による問題は、アルコール依存症と診断される前から起こることがあります。
飲酒量が多くないからといって、必ずしも安全とは限りません。
今回は、病的酩酊の特徴、普通の酔い方との違い、アルコール依存症との関係、危険な症状、治療や相談の目安について詳しく解説します。

病的酩酊とは?普通の酔い方との違い

病的酩酊とは、飲酒に伴って強い意識障害や周囲の状況を正しく認識できない状態が現れ、通常の酔い方では説明しにくい言動が生じる状態を指す従来の医学用語です。
突然の強い興奮、混乱、恐怖、幻覚・妄想のような体験、周囲から理解しにくい行動などが見られることがあります。
特徴の一つは、必ずしも大量飲酒を伴わないことです。
また、酔いがさめた後に、その間の出来事を思い出せない場合があります。
ただし、病的酩酊という診断概念には医学的な議論があり、飲酒後に暴れた、記憶がないという理由だけで、病的酩酊と判断することはできません。
ほかの精神疾患や身体疾患、薬の影響なども含めた評価が必要です。

酩酊には3つのタイプがある

従来の分類では、飲酒による酩酊は次のように整理されています。

① 単純酩酊|一般的な酔った状態

飲酒量が増えるにつれて、気分が高揚する、判断力が低下する、言葉が不明瞭になる、ふらつくなどの変化が現れます。

大量飲酒では意識障害や呼吸抑制に至る場合もあり、急性アルコール中毒の危険があります。

② 複雑酩酊|興奮や攻撃性が著しくなる

飲酒後に怒りっぽくなり、些細なことをきっかけに激しく興奮したり、暴言や暴力につながったりする状態です。

一般に「酒乱」と呼ばれる状態が含まれます。

病的酩酊との違いとして、周囲の状況を把握する能力が比較的保たれていることが多いとされています。

③ 病的酩酊|意識や状況認識に大きな障害が生じる

飲酒に伴い、強い混乱や意識障害、現実の状況を正しく把握できない状態が現れます。

周囲から理解しにくい行動が生じ、後から記憶が残っていない場合があります。

ただし、この分類は症状を理解するためのものであり、実際の診断には慎重な判断が必要です。

病的酩酊で見られることがある主な症状

① 突然の激しい興奮

飲酒前には落ち着いていた人が、突然怒鳴る、物を壊す、周囲に攻撃的になるなど、著しく興奮する場合があります。

② 意識の混乱や状況認識の障害

自分がどこにいるのか、何が起きているのかを正しく理解できなくなることがあります。

周囲の呼びかけに適切に反応できない場合もあります。

③ 幻覚や強い恐怖

実際には存在しないものが見える、誰かに危害を加えられると強く感じるなどの症状が現れることがあります。

ただし、同様の症状はアルコール離脱や別の病気でも生じます。

④ 飲酒中の出来事を思い出せない

翌朝、家族や友人から行動を聞かされても、記憶がない場合があります。

ただし、記憶が抜け落ちる現象には「アルコール性ブラックアウト」もあり、病的酩酊とは区別する必要があります。

飲酒後に記憶が飛ぶ「ブラックアウト」との違い

ブラックアウトとは、飲酒中に経験した出来事が、後から思い出せなくなる状態です。
当時は会話や行動をしていても、新しい記憶が十分に形成されず、翌朝になって記憶の空白に気づく場合があります。
一方、病的酩酊と呼ばれる状態では、強い意識障害や状況認識の障害が問題になります。

「飲酒後の記憶がない=病的酩酊」ではありません。

ブラックアウト自体も、事故やけが、飲酒による健康問題につながる重要な警告サインです。

なぜ異常な酔い方が起こるのか?

飲酒後の異常な反応には、さまざまな要因が関係する可能性があります。
例えば、アルコールへの体質的な感受性、脳の病気や過去の頭部外傷、著しい疲労、睡眠不足、薬との相互作用などです。
睡眠薬や抗不安薬など、一部の薬とアルコールを併用すると、強い眠気、意識障害、記憶障害などが起こる危険があります。
また、低血糖、てんかん、頭部外傷、感染症などによって意識や行動が変化することもあります。
そのため、異常な言動が現れたときに「酔っているだけ」と判断することは危険です。

病的酩酊・危険な飲酒行動のチェックリスト

ご本人やご家族が、現在の状態を振り返るためのチェックリストです。

【A】飲酒後の異常な変化

□ お酒を飲むと、普段とは著しく異なる言動が現れる

□ 飲酒後、突然激しく興奮することがある

□ 暴言、暴力、物を壊す行動があった

□ 周囲の呼びかけが通じないことがある

□ 自分のいる場所や状況がわからなくなることがある

□ 飲酒後に強い恐怖や幻覚のような体験があった

□ 翌日、飲酒中の出来事を思い出せない

【B】飲酒習慣と生活への影響

□ 飲酒量が以前より増えている

□ 飲み始めると、予定した量でやめられない

□ 家族や友人から飲酒について注意されたことがある

□ 飲酒によって仕事や家庭生活に問題が起きている

□ 不安や不眠を和らげるためにお酒を飲んでいる

□ 飲酒後の失敗を繰り返しても、また飲んでしまう

□ 飲まないと手が震える、汗をかく、強い不安が出る

このチェックリストは、病的酩酊やアルコール依存症の診断基準ではありません。

該当数だけで病名や重症度は判断できません。

特に、意識の混乱、幻覚、暴力、記憶の欠落などがある場合は、1項目でも専門家への相談を検討してください。
現在進行中の意識障害や危険な行動がある場合には、通常の外来予約ではなく、緊急の対応が必要です。

病的酩酊はアルコール依存症の一歩手前?

病的酩酊とアルコール依存症は、異なる概念です。
病的酩酊は、飲酒に伴って起こる異常な酩酊状態を指します。
一方、アルコール依存症では、飲酒をコントロールすることが難しくなり、健康や生活に問題が生じても飲酒を続ける状態が中心となります。
そのため、病的酩酊が必ずアルコール依存症へ進行するわけではなく、アルコール依存症の方すべてに異常酩酊が現れるわけでもありません。
しかし、依存症と診断されていなくても、飲酒による記憶障害、暴力、事故、家庭内トラブルなどが起きている場合には、すでに健康上・社会生活上の問題が生じています。

「まだ依存症ではないから大丈夫」と考えず、問題が小さい段階から飲酒習慣を見直すことが重要です。


異常な酔い方を繰り返す場合、どうすればよい?

まず、再び同様の状態になる危険があるため、医師による評価を受けるまでは飲酒を避けることが重要です。
症状が現れたときの飲酒量、飲酒時間、服用していた薬、睡眠や体調、具体的な行動を記録しておくと、診察時の参考になります。

ただし、毎日の大量飲酒が続いている方や、飲まないと震え・発汗などの離脱症状が出る方は、急な断酒によって重い離脱症状を起こす危険があります。
その場合には自己判断で飲酒を中断せず、速やかに医療機関へ相談してください。
治療では、身体疾患や薬の影響、精神症状の有無を確認し、必要に応じて飲酒問題に対する専門的な治療につなげます。

家族が異常な酔い方を目撃したら

本人が激しく興奮しているときに、無理に説得したり、一人で押さえ込もうとしたりすることは危険です。
まずは距離を取り、ご家族自身や周囲の方の安全を確保してください。
意識がはっきりしない、呼吸がおかしい、けいれんしている、繰り返し嘔吐する場合は、119番への通報が必要です。
暴力によって差し迫った危険がある場合は、安全な場所へ避難し、必要に応じて110番へ連絡してください。
意識が低下している人を一人にせず、無理に飲み物を飲ませたり、吐かせたりしないことも大切です。
酔いがさめた後は、感情的に責め続けるのではなく、起きた事実を具体的に伝え、医療機関への相談を勧めましょう。

精神科ではどのような検査・治療をする?

診察では、飲酒量や頻度、異常な言動の経過、記憶障害の有無、既往歴、服薬状況などを確認します。
必要に応じて血液検査や神経学的な評価を行い、身体疾患や薬の影響を調べる場合があります。
飲酒問題の程度を把握するため、AUDITなどの質問票を用いることもあります。
治療では、飲酒習慣の改善、心理的支援、生活環境の調整、アルコール使用障害に対する専門的な治療などを検討します。
うつ病、不安障害、不眠症などを併存している場合は、それらの症状への対応も重要です。

港区麻布・麻布十番で、飲酒後の異常な言動や記憶障害にお悩みの方へ

「飲酒後に自分が何をしたか覚えていない」

「お酒を飲むと家族とトラブルになる」

「依存症ではないと思うけれど、最近の飲み方が心配」

このようなお悩みがある場合は、早い段階で専門家に相談することが大切です。

Family Total Healthcare Clinic AZABUでは、アルコール依存症をはじめ、飲酒に関連する精神的な問題や、併存するうつ病、不安障害、不眠症などについてご相談を承っています。

診察では、飲酒状況や生活への影響を伺い、必要な評価や治療方針を検討します。
重い意識障害や離脱症状がある場合には、救急医療や専門医療機関での治療が必要です。

港区麻布・麻布十番、六本木周辺などから精神科・心療内科をお探しの方も、ご相談ください。

「飲むと別人になる」「翌日覚えていない」を、単なる酒癖として放置しないこと。

アルコールによる問題は、依存症と診断される前から、本人や家族の生活に大きな影響を及ぼすことがあります。
今の飲酒習慣と向き合うことが、自分自身と大切な人を守る第一歩になります。