発達障害はなぜ増えた?ASD・ADHDの診断が増加している本当の理由と、子ども・大人の生きづらさを精神科が解説|港区麻布の精神科・心療内科|Family Total Healthcare Clinic AZABU

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コラム COLUMN

発達障害はなぜ増えた?ASD・ADHDの診断が増加している本当の理由と、子ども・大人の生きづらさを精神科が解説

子ども・思春期 公開日 監修:院長 池上恭司

「最近、発達障害の人が増えた」と感じるのはなぜ?

「昔は発達障害という言葉をあまり聞かなかった」
「最近は子どもだけでなく、大人のADHDもよく耳にする」
「発達障害が増えたのは、現代の生活環境が原因なのだろうか?」
このような疑問を感じたことはありませんか?
近年、ADHD(注意欠如・多動症)やASD(自閉スペクトラム症)などの発達障害について、学校、職場、医療機関、SNSなどで取り上げられる機会が増えています。
しかし、ここで理解しておきたいことがあります。
発達障害と診断される人が増えたことと、発達障害の特性を持つ人そのものが増えたことは、必ずしも同じではありません。
医学の進歩や社会の理解が進み、これまで見過ごされてきた発達特性が認識されるようになった可能性があります。
今回は、2026年に発表された最新研究も踏まえ、発達障害の診断が増えた背景、子どもと大人の特徴、現代社会との関係、診断や治療について詳しく解説します。

発達障害とは?ADHD・ASD・学習障害の違い

発達障害は、脳の発達や情報処理の特性に関係する神経発達症の総称です。

代表的なものには、次のようなものがあります。

① ADHD(注意欠如・多動症)

不注意、多動性、衝動性を主な特徴とします。
忘れ物やケアレスミスが多い、予定管理が苦手、落ち着かない、衝動的に行動してしまうなどの特徴が見られることがあります。

② ASD(自閉スペクトラム症)

対人コミュニケーションの特徴、興味や行動の偏り、予定変更への苦手さ、感覚の過敏さなどが見られることがあります。
知的能力が高くても、対人関係や環境の変化に強い負担を感じる方もいます。

③ 限局性学習症(SLD)

知的能力全体に大きな問題がなくても、読む、書く、計算するなど、特定の学習領域に著しい困難が現れる状態です。
ただし、こうした特徴が一つ当てはまるだけで発達障害と診断されるわけではありません。

【最新研究】日本で発達障害の診断は本当に増えている?

2026年10月20日、信州大学などの研究グループが、日本全国の医療データを分析した研究を医学誌『JAMA Network Open』に発表しました。
2010年度から2023年度までの新規診断を調べたところ、ASDとADHDの診断数は、子ども・大人ともに増加していました。
研究対象となった期間の新規診断記録は、ASDが約162万人、ADHDが約148万人でした。
特に大人ではADHDの診断が増加しており、20代前半の女性でも診断の増加が確認されています。
ただし、この研究は医療保険の請求データに記録された診断を分析したものです。
診断数が増えていても、発達特性を持つ人そのものが生物学的に増加したと証明されたわけではありません。
研究者は、発達障害への認知の広がり、診断や治療を受ける機会の増加、支援制度との関係などが背景にある可能性を指摘しています。

学校では「8.8%」という数字も

文部科学省の2022年調査では、通常の学級に在籍する公立小中学校の児童生徒のうち、学習面または行動面で著しい困難を示すと教員が回答した割合は8.8%でした。
2012年の調査では6.5%でしたが、調査対象や質問項目などが一部異なるため、単純に比較することはできません。
また、8.8%という数値は、医師から発達障害と診断された子どもの割合ではありません。
学校生活で特別な教育的支援を必要とする可能性がある子どもを把握するための調査です。 
この数字だけから「発達障害の子どもが急増した」と結論づけることはできません。

発達障害の診断が増えたと考えられる5つの理由

① 発達障害への医学的理解が深まった

以前は、落ち着きのなさや対人関係の難しさが、性格や本人の努力の問題として捉えられることもありました。
現在は、ADHDやASDの特徴について研究が進み、さまざまな症状や発達特性を医学的に評価できるようになっています。
その結果、これまで見過ごされていた方が、診断や支援につながる機会が増えました。

② 診断基準や分類が変化した

以前は、自閉症、アスペルガー症候群などが別々の名称で説明されていました。
現在はASDという連続的な概念で捉え、特性の現れ方や支援の必要性を総合的に評価しています。
診断分類の変化も、統計上の診断数や診断される人の範囲に影響した可能性があります。

③ 学校や家庭で早期に気づかれるようになった

保育園、幼稚園、学校などでは、発達特性を理解し、必要な支援につなげようとする取り組みが広がっています。
以前なら「落ち着きのない子」「集団行動が苦手な子」と見られていた場合でも、現在は発達特性の可能性を考えて相談することがあります。
早い段階で気づかれることは、本人に合った教育や生活環境を整える機会にもなります。

④ 大人になってから発達障害に気づく人が増えた

子どもの頃は周囲の支援によって問題が目立たなくても、就職、昇進、転職、結婚、子育てなどによって困難が明らかになる場合があります。
特に、複数の業務を同時に管理することや、曖昧な指示への対応、職場の人間関係などに強いストレスを感じる方がいます。
大人になって突然発達障害になったのではなく、以前からの特性が生活環境の変化によって目立つようになることがあります。

⑤ 相談・診断・支援を受ける機会が広がった

近年は精神科や発達外来、教育相談、発達障害者支援センターなど、相談先の情報を得やすくなっています。
また、学校や職場で適切な支援や合理的配慮を受けるため、医療機関での評価を希望する方もいます。
こうした制度や社会環境の変化が、診断件数に影響していると考えられます。

スマートフォンや家庭環境が発達障害を増やした?

「スマートフォンの使いすぎが原因では?」「親の育て方に問題があるのでは?」と心配される方もいます。
しかし、スマートフォンの使用や共働き、親の愛情不足が、ASDやADHDを直接発症させると証明されているわけではありません。
発達障害には遺伝的要因をはじめ、脳の発達に関わる複数の要因が関係すると考えられています。
一方、長時間のデジタル機器使用や睡眠不足などは、集中力や生活リズムに影響する場合があります。
そのため、発達障害そのものの原因と、症状や困りごとを強める生活上の要因は区別して考える必要があります。

なぜ現代社会では「生きづらさ」が目立ちやすい?

現代社会では、コミュニケーション能力、柔軟な対応、複数業務の管理など、さまざまな能力が求められます。
ASDの方は、曖昧な指示や急な予定変更に負担を感じる場合があります。
ADHDの方は、時間管理や優先順位の判断、忘れ物などで困ることがあります。
こうした困難は、本人の能力が低いことを意味するものではありません。
本人の特性と、学校や職場で求められることが合わない場合に、困りごとが強くなることがあります。
周囲の理解や環境調整によって、生活の負担を軽減できる場合もあります。

発達障害とうつ病・適応障害・不安障害の関係

発達特性による困難が続くと、周囲から注意されたり、失敗経験が重なったりして、自信を失うことがあります。
その結果、うつ病、適応障害、不安障害、不眠症などを併存する場合があります。
一方、うつ病や睡眠不足による集中力低下が、ADHDの不注意に似て見えることもあります。
「自分は発達障害かもしれない」と感じても、現在の症状だけで決めつけることはできません。

発達障害の診断・検査では何をする?

精神科では、現在の困りごと、幼少期からの発達歴、学校・職場・家庭での様子などを確認します。
必要に応じて、心理検査や質問票、ご家族からの情報などを参考にする場合があります。
ただし、心理検査だけで診断が確定するわけではなく、初診当日にすべての評価が終わるとは限りません。
また、ADHDとASDの特性が併存する場合や、ほかの精神疾患が関係している場合もあります。
診断名だけでなく、何に困っているのか、どのような支援が必要なのかを整理することが重要です。

発達障害の治療と支援で大切なこと

発達障害への対応は、特性を無理に変えることが目的ではありません。
本人の強みや苦手さを理解し、生活しやすい環境を整えることが基本です。
例えば、仕事の指示を文章にする、予定を見える化する、静かな作業環境を確保する、学校と情報を共有するなどの方法があります。
ADHDでは、症状や生活への影響に応じて薬物療法を検討する場合があります。
ASDの中核的な特性を直接治す薬はありませんが、併存する不安や不眠などには必要な治療を行うことがあります。
発達障害の診断は、自分を分類するためではなく、自分に合った支援を見つけるための一つの手段です。


港区麻布・麻布十番で発達障害のご相談は当院へ

「子どもの発達が気になる」

「大人になってからADHDやASDかもしれないと感じている」

「仕事や人間関係で、以前から生きづらさがある」

「発達障害なのか、うつ病や不安障害なのかわからない」

このようなお悩みがある方は、精神科・児童精神科への相談をご検討ください。

Family Total Healthcare Clinic AZABUでは、ADHD・ASDなどの発達特性をはじめ、うつ病、適応障害、不安障害、不眠症などについてご相談を承っています。
現在の困りごとや幼少期からの経過、学校・職場・家庭での状況を丁寧に確認し、必要な評価や治療、生活環境の調整を検討します。
港区麻布・麻布十番、六本木周辺をはじめ、新宿・池袋・上野などから精神科・心療内科・児童精神科をお探しの方も、ご相談ください。
発達障害の診断が増えている時代だからこそ、病名だけで人を判断しないことが大切です。
ご自身やお子さまの特徴を理解し、強みを生かしながら、より過ごしやすい生活につなげていきましょう。