セックス依存症とは?やめたいのにやめられない性行動の原因・症状・チェックリストと精神科での治療|港区麻布の精神科・心療内科|Family Total Healthcare Clinic AZABU

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コラム COLUMN

セックス依存症とは?やめたいのにやめられない性行動の原因・症状・チェックリストと精神科での治療

依存症・パーソナリティ 公開日 監修:院長 池上恭司

「もうやめよう」と決めたのに、なぜ繰り返してしまうのでしょうか?

「性的なことが頭から離れず、仕事に集中できない」

「夜中まで性的な動画やSNSを見続け、睡眠時間が減っている」

「パートナーとの関係に問題が起きても、同じ行動を繰り返してしまう」

「やめようと何度も決意しているのに、自分ではコントロールできない」

「誰にも相談できず、強い自己嫌悪や不安を抱えている」

このようなお悩みはありませんか?

性欲や性的な関心は、人間にとって自然なものです。性的な行動をすることや、性に関心を持つこと自体が病気というわけではありません。
しかし、性的な衝動や行動を自分でコントロールすることが難しくなり、仕事、家庭、人間関係、健康などに深刻な影響が出ている場合には、精神医学的な評価が必要になることがあります。
一般的に「セックス依存症」「性依存症」と呼ばれる状態の一部は、医学的には強迫的性行動症(Compulsive Sexual Behaviour Disorder:CSBD)に該当する場合があります。
重要なのは、性的な行動の回数や性欲の強さだけではなく、「やめたいのに制御できない」「問題が起きても繰り返してしまう」という状態です。
今回は、セックス依存症と強迫的性行動症の違い、原因、特徴、セルフチェック、精神科での診察・治療、日常生活でできる対策について詳しく解説します。

セックス依存症とは?医学的な「強迫的性行動症」との関係

セックス依存症という言葉は広く知られていますが、独立した正式な診断名として確立されているわけではありません。
一方、世界保健機関(WHO)の国際疾病分類ICD-11には、強迫的性行動症(CSBD)という診断概念があります。
ICD-11では、この疾患はアルコール依存症などの物質使用症群ではなく、「衝動制御症群」に分類されています。
強迫的性行動症では、強い性的衝動や欲求を持続的にコントロールできず、性的な行動を繰り返してしまうことが中心的な特徴です。
例えば、性的な活動が生活の大部分を占め、仕事や睡眠、健康管理を後回しにしてしまう、何度も減らそうとして失敗する、問題が生じても繰り返すなどの状態です。
診断では、一般に6か月以上の持続的な経過や、著しい苦痛、日常生活への重大な支障などが評価されます。
ただし、6か月経過するまで相談できないという意味ではありません。
困りごとが生じている段階から相談することができます。

性欲が強い人とセックス依存症の違い

性欲の強さや性的な行動の頻度には、大きな個人差があります。
性欲が強くても、自分の意思で行動を調整でき、健康や日常生活、人間関係に問題が生じていない場合、それだけで精神疾患とは判断されません。
一方、性的な行動を控えようとしても繰り返し失敗し、生活に重大な支障が生じている場合には、専門的な評価を検討します。
また、宗教観や価値観などから性的な行動に罪悪感を抱いているだけでは、強迫的性行動症の診断基準を満たしません。
性欲の強さや性的な好みを、本人の意思に反して病気と決めつけないことが重要です。


セックス依存症では、どのような問題が起こる?

問題となる行動は人によって異なります。
例えば、性的な動画やコンテンツの視聴を長時間続ける、出会いを求める行動に多くの時間を使う、繰り返す性的行動によって睡眠や仕事に支障が生じるなどです。
また、行動を減らしたいと思っていても実行できず、自己嫌悪や不安を繰り返す場合があります。
パートナーとの信頼関係に影響することや、金銭的な問題、性感染症のリスクなどが生じる場合もあります。
ただし、性的な動画を見ることや、複数の相手との合意に基づく性行動それ自体が、精神疾患を意味するわけではありません。
医学的に確認する必要があるのは、制御の困難さと生活への影響です。

なぜ性的な行動をやめられなくなるのか?6つの背景

① ストレスや不安を和らげようとしている

仕事や人間関係のストレス、強い孤独感などを抱えているときに、性的な行動によって一時的な気分転換や安心感を得ようとする場合があります。
しかし、行動後に自己嫌悪や後悔が強くなると、その苦痛を和らげるために再び同じ行動を繰り返してしまうことがあります。
ただし、ストレスによる対処行動はすべての患者さまに共通するわけではありません。

② 衝動をコントロールすることが難しくなっている

強い欲求が現れると、その場で行動することを優先し、長期的な影響を十分に考えにくくなる場合があります。
衝動の強さや制御の難しさには、心理的要因や個人の特性などが複雑に関係すると考えられています。

③ 習慣化した行動を繰り返している

特定の時間、場所、感情などが性的な行動と結びつき、同じ状況になると繰り返し行動したくなる場合があります。
例えば、仕事から帰宅した後や、眠れない夜など、特定の状況がきっかけになることがあります。

④ 孤独感や自己肯定感の低下

人とのつながりを感じにくい、自分に自信が持てないといった状態が、性的な行動を通じて一時的な安心を求める背景になる場合があります。
しかし、すべての強迫的性行動症が孤独感や自己肯定感の低下によって起こるわけではありません。

⑤ 精神疾患が関係している

うつ病、不安障害、ADHD、物質使用に関する問題などを併存している場合があります。
また、双極性障害の躁状態や軽躁状態では、普段より性的な関心や行動が急激に増えることがあります。
特に、睡眠時間が短くても活動的で、気分の高揚や衝動的な行動が同時に現れている場合には、双極性障害などとの鑑別が重要です。

⑥ 薬剤や身体疾患の影響

一部の薬剤や神経疾患、アルコール・薬物の影響によって、衝動的な行動や性的な行動が変化する場合があります。
それまで問題のなかった方に突然行動の変化が現れた場合には、服薬歴や身体状態を含めて確認することが大切です。

「やめたいのにやめられない」悪循環とは?

性的な行動が制御しにくくなる背景には、次のような悪循環が見られる場合があります。

ストレスや孤独を感じる

↓

性的な衝動や欲求が強まる

↓

行動によって一時的に気分が変化する

↓

後悔・自己嫌悪・睡眠不足などが生じる

↓

再びストレスが強まり、同じ行動を繰り返す

この悪循環を理解することは、治療を考えるうえで重要です。
ただし、すべての方が同じ経過をたどるわけではなく、強い自己嫌悪を伴わないケースもあります。
治療では、個々の患者さまがどのような場面で行動を繰り返しやすいのかを整理していきます。

セックス依存症・強迫的性行動症のセルフチェック

次の項目は、性的な行動が生活にどの程度影響しているかを振り返るためのものです。

□ 性的な衝動をコントロールすることが難しい

□ 性的な行動を減らそうとしても、何度も失敗する

□ 性的なことに多くの時間を使い、睡眠や仕事に影響している

□ 問題が生じていても、同じ行動を繰り返してしまう

□ 性的な行動によって、パートナーとの関係が悪化している

□ 性的な行動に関連して、金銭的な負担が大きくなっている

□ ストレスや不安を感じると、性的な行動が増えることがある

□ 行動後に後悔しても、次の機会には繰り返してしまう

□ 以前ほど満足感がなくても、同じ行動を続けている

□ 性的な行動を優先し、健康管理や趣味を後回しにしている

□ 自分の行動によって、生活に重大な支障が生じている

□ 問題を誰にも話せず、一人で悩み続けている

このチェックリストは、医学的な診断基準や検査ではありません。

該当数だけで病気の有無や重症度を判断することはできません。

特に、性的な行動を制御できず、仕事や生活に支障がある場合は、精神科などでの相談をご検討ください。

セックス依存症と恋愛依存症は同じ?

恋愛依存と強迫的性行動症は、同じものではありません。

恋愛依存では、相手から嫌われることへの不安、見捨てられ不安、恋人との関係への過度な心理的依存などが中心になる場合があります。
一方、強迫的性行動症では、性的な衝動や行動を自分でコントロールできない状態が中心となります。
両方の問題が重なる場合もありますが、恋人への依存が強いからといって、必ず性的な行動の問題を伴うわけではありません。
また、強迫的性行動症と性嗜好症群も区別する必要があります。
同意のない性的行為や違法行為がある場合には、他者の安全と権利を守ることが最優先です。
精神疾患の有無によって、その行為の責任が免除されるわけではありません。


精神科では何をする?初診で確認する内容

「性的な悩みを医師に話すのは恥ずかしい」と感じる方もいるでしょう。
しかし、精神科では、人に相談しにくい悩みについても、医学的な観点から状態を整理することができます。
診察では、主に次のような内容を確認します。

① 現在の困りごと

性的な行動に関連して、どのような苦痛や問題が生じているのかを伺います。

② 行動の経過ときっかけ

いつ頃から続いているのか、どのようなときに衝動が強くなるのか、これまでに減らそうとした経験などを確認します。

③ 日常生活への影響

睡眠、仕事、学業、家庭、人間関係、健康状態などへの影響を確認します。

④ 精神疾患や身体疾患の可能性

うつ病、双極性障害、不安障害、ADHDなどのほか、薬剤や身体疾患の影響についても必要に応じて評価します。

⑤ 本人が目指す改善目標

何に困っているのか、どのような生活を取り戻したいのかを確認し、治療や支援の方向性を考えます。

診察で最も重要なのは、患者さまを責めることではなく、現在の状態を適切に理解することです。

強迫的性行動症の治療法|医学的に検討される方法

① 心理教育と行動の整理

まず、強迫的性行動症の特徴や、行動を繰り返す仕組みについて理解します。

どのような状況で衝動が強くなるのかを整理することで、具体的な対策を検討しやすくなります。

② 認知行動療法(CBT)

認知行動療法では、行動に先立つ考え方や感情、環境などを確認し、衝動への対処方法を身につけていきます。

例えば、衝動が強くなる場面を把握する、行動を遅らせる方法を練習する、ストレスへの別の対処手段を用意するといった方法です。

強迫的性行動症に対する心理療法の研究では、認知行動療法などに一定の有効性を示す結果が報告されています。

ただし、治療研究はまだ十分とはいえず、すべての方に同じ効果が保証されるわけではありません。

③ ACTなどの心理的支援

アクセプタンス&コミットメント・セラピー(ACT)では、不快な感情や衝動を無理に消そうとするだけではなく、自分にとって大切な価値観や生活目標に沿った行動を考えます。

必要に応じて、こうした心理的支援が検討される場合があります。

④ 併存する精神疾患への治療

うつ病、不安障害、双極性障害、ADHDなどが関係している場合には、それぞれの疾患に対する適切な治療が必要です。

⑤ 薬物療法

強迫的性行動症そのものに対して、広く承認された特効薬は確立されていません。

海外の研究や診療指針では、一部の抗うつ薬やナルトレキソンなどが検討されていますが、強迫的性行動症に対する正式な承認適応があるわけではなく、研究上の限界もあります。

日本での使用可否や適応、保険上の取扱いも異なるため、安易に薬物療法を開始するものではありません。

⑥ 再発予防と継続的な支援

症状が改善しても、生活環境やストレスの変化によって、再び衝動が強まる場合があります。

そのため、行動のきっかけや対処方法を振り返り、必要に応じて継続的な心理的支援を受けることが役立ちます。

治療の目標は、性的な感情をすべてなくすことではありません。

自分の行動を適切にコントロールし、健康や人間関係を大切にできる生活を取り戻すことです。

今日からできる5つの改善方法

① 行動のきっかけを記録する

性的な衝動が強くなった時間、場所、感情、その前に起きた出来事などを簡単に記録しましょう。

自分の行動を責めるためではなく、傾向を理解するための記録です。

② 衝動が強くなる環境を調整する

特定のSNSやサイトの利用が問題行動につながっている場合には、通知設定や閲覧時間を見直すなど、無理のない範囲で環境を調整します。

③ 睡眠と生活リズムを整える

慢性的な睡眠不足や過労は、衝動的な行動への対処を難しくする場合があります。

まずは十分な休息と規則的な生活を意識しましょう。

④ ストレスへの別の対処方法を増やす

散歩、運動、趣味、友人との交流など、性的な行動以外にも気持ちを整えられる方法を探しましょう。

⑤ 早い段階で相談する

一人で何度も行動をやめようとして失敗している場合には、医療機関や専門的な相談機関の支援を受けることが重要です。

パートナーや家族ができること

ご本人の行動によって、パートナーやご家族が強い不安やショックを受ける場合があります。

問題を抱える本人を一方的に責め続けることは、解決につながらない場合があります。

一方で、病気の可能性があるからといって、家族やパートナーがすべてを受け入れる必要もありません。

お互いの安全、プライバシー、境界線を尊重することが重要です。

必要に応じて、パートナーやご家族自身も相談や心理的支援を受けることができます。

性的な衝動が突然強くなった場合は注意

それまでと異なり、急に性的な行動が増えた場合には、精神疾患や薬剤の影響などを考える必要があります。
特に、睡眠時間が極端に減る、異常に活動的になる、浪費が増える、強い興奮が続くなどの症状を伴う場合には、躁状態などの可能性もあるため、早めの医学的評価が重要です。
また、他人への危害や同意のない行為につながる危険がある場合は、相手との接触を避けるなど、直ちに安全を確保し、専門機関へ相談してください。

よくある質問

Q. セックス依存症は精神科で相談できますか?

はい。性的な衝動や行動に伴う不安、抑うつ、不眠、日常生活への支障などについて、精神科で相談できます。
ただし、強迫的性行動症に対する専門治療の実施体制は医療機関によって異なります。

Q. 性欲が強いだけでも治療が必要ですか?

性欲の強さだけで治療の必要性が決まるわけではありません。
行動の制御が難しく、重大な苦痛や生活への支障が生じているかが重要です。

Q. 女性でも強迫的性行動症になりますか?

はい。性別にかかわらず問題が生じる可能性があります。
症状の現れ方や相談のしやすさには個人差があります。

Q. セックス依存症は薬で治りますか?

強迫的性行動症そのものを確実に治す特効薬は確立していません。
心理的支援を中心に、併存する疾患や症状に応じて治療方法を検討します。

Q. 初診で詳しく話すことが恥ずかしい場合は?

最初からすべてを話す必要はありません。
「性的な行動を減らしたいのにできない」「生活に影響が出ている」など、話せる範囲から相談できます。

港区麻布・麻布十番で、性的な行動に関する悩みを抱えている方へ

「性的な衝動が強く、生活に支障が出ている」

「やめようとしても同じ行動を繰り返してしまう」

「誰にも相談できず、強い不安や自己嫌悪を感じている」

「性的な行動だけでなく、不眠や気分の落ち込みも続いている」

このようなお悩みを、一人で抱え込んでいませんか?

Family Total Healthcare Clinic AZABUでは、精神科・心療内科として、繰り返す行動に関する悩みや、関連する不安、うつ症状、不眠などについてご相談いただけます。

診察では、患者さまが現在どのようなことで困っているのか、心身の状態や生活背景を伺い、必要な評価や治療方針を検討します。

強迫的性行動症に特化した専門的な心理療法やプログラムが必要な場合には、対応可能な専門医療機関への相談・紹介も選択肢となります。

当院は、麻布十番駅4番出口から徒歩3分。月曜日から木曜日は22時まで、土曜日・日曜日・祝日も診療しており、WEB・LINE・電話で初診予約をご案内しています。

港区麻布・麻布十番、六本木周辺をはじめ、新宿・池袋・上野などから精神科・心療内科をお探しの方も、ご相談ください。

「誰にも知られたくない」「恥ずかしくて相談できない」

そのような思いから、長い間一人で悩んでいる方もいるかもしれません。

しかし、問題を医学的に理解し、適切な支援を検討することは可能です。

大切なのは、性的な欲求そのものを否定することではなく、ご自身の健康と生活、そして他者の尊厳を守りながら、自分の行動を選べる状態を目指すことです。

悩みが深刻になる前に、現在の状態を整理することから始めましょう。