愛着障害とは?子ども・大人の特徴、原因、発達障害との違いと治療法を精神科が解説|港区麻布の精神科・心療内科|Family Total Healthcare Clinic AZABU

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コラム COLUMN

愛着障害とは?子ども・大人の特徴、原因、発達障害との違いと治療法を精神科が解説

不安・考えすぎ 公開日 監修:院長 池上恭司

「人を信じたいのに、信じられない」その生きづらさの背景にあるもの

「人に嫌われることが怖く、いつも相手の顔色を見てしまう」

「大切な人ほど、見捨てられるのではないかと不安になる」

「子どもが人に甘えられず、感情の表現が極端に少ない」

「知らない大人にも警戒せず、必要以上に親しげに接する」

このような悩みを抱えていませんか?
人間関係で安心感を得られない、他人との距離感がわからない、自分の気持ちをうまく伝えられない。
こうした困難の背景には、さまざまな心理的・発達的な要因が関係している場合があります。
その一つとして知られているのが、愛着障害(アタッチメント障害)です。
ただし、子どもの医学的な愛着障害と、大人の人間関係で使われる「愛着の問題」は同じ意味ではありません。
今回は、愛着障害の種類、子どもと大人の特徴、原因、ADHD・ASDとの違い、相談や治療の方法について詳しく解説します。

愛着(アタッチメント)とは何か?

愛着とは、子どもが特定の養育者との間に築く情緒的な結びつきです。
子どもは不安や恐怖を感じた際、安心できる大人に助けを求め、その反応を通して少しずつ安心感を育んでいきます。
安心できる存在を「安全基地」として、周囲の世界を探索し、新しい経験へ挑戦するようになります。
愛着の形成には、日常的な関わりや養育環境だけでなく、子どもの気質や発達特性なども関係します。
愛着は必ずしも母親だけとの間に形成されるものではありません。
父親や祖父母、里親など、継続して子どもを支える大人も重要な存在です。

医学的な愛着障害には2つの種類がある

現在の精神医学では、愛着に関係する代表的な診断として、次の2つが区別されています。

① 反応性アタッチメント障害(RAD)

反応性アタッチメント障害では、子どもがつらいときにも、身近な養育者へ安心や慰めを求める行動が著しく少なくなることがあります。
慰められても反応が乏しい、感情を表に出しにくい、対人場面で強い警戒が見られるなどの特徴が現れる場合があります。
単に人見知りをする、おとなしい、甘えるのが苦手というだけでは診断できません。

② 脱抑制型対人交流症(DSED)

脱抑制型対人交流症では、知らない大人に対しても年齢相応の警戒心が乏しく、過度に親しげに接することがあります。
初対面の相手にためらわず近づく、保護者を確認せずに見知らぬ人についていこうとするなど、安全面で注意が必要な行動が見られる場合もあります。
ただし、人懐っこい性格というだけで、この病気を疑うわけではありません。
両者は、極端に不十分な養育や、安定した養育者との関係を築くことが難しかった経過などが診断に深く関係する、主に幼少期に始まる病気です。

愛着障害の原因は親の愛情不足?

愛着障害について調べると、「親の愛情不足が原因」という説明を見かけることがあります。
しかし、こうした表現だけで原因を説明することは適切ではありません。
医学的な愛着障害には、深刻なネグレクト、養育者の頻繁な交代など、子どもが安定したケアを受けにくかった環境が関係します。
背景には家庭の孤立、養育者自身の病気、生活上の困難、社会的な支援不足など、複数の事情があることもあります。
子どもの様子だけを見て、親の育て方を原因と決めつけることはできません。
また、家庭で十分に愛情を注いでいても、子どもが不安、対人関係の難しさ、感情の調整の問題を抱えることはあります。
子どもや保護者を責めるのではなく、発達の経過や現在の生活環境を丁寧に確認することが重要です。

子どもに見られる愛着に関する困りごと

愛着の形成や対人関係に困難がある子どもでは、次のような様子が見られる場合があります。

  • 不安なときにも大人に助けを求めにくい

  • 特定の大人との安定した関係を築きにくい

  • 人との距離感が極端に近い、または遠い

  • 感情の調整が難しく、強い不安や怒りが現れる

  • 学校や家庭での人間関係に困っている

ただし、これらは愛着障害だけに特徴的な症状ではありません。

ASD、ADHD、不安障害、トラウマによる反応など、ほかの理由でも似た困難が生じることがあります。

大人の愛着障害とは?人間関係で現れる特徴

大人について「愛着障害」という言葉が使われる場合、その多くは正式なRADやDSEDの診断ではなく、対人関係における愛着の不安定さを指しています。

例えば、次のような悩みです。

「相手からの返信が遅いだけで見捨てられたように感じる」

「親しくなるほど傷つくことが怖くなり、自分から距離を置く」

「相手の期待に応えようとして、無理を続けてしまう」

こうした傾向は、不安型・回避型などの愛着スタイルという心理学的な概念で説明されることがあります。
しかし、不安型や回避型という愛着スタイルは、それ自体が精神疾患の診断名ではありません。
大人の対人不安には、過去の対人経験だけでなく、現在のストレス、うつ病、社交不安症、PTSD、発達特性などが関係している場合もあります。

愛着障害とASD・ADHDの違い

愛着の問題と発達障害は、一部の行動が似て見える場合があります。
ASDでは、社会的コミュニケーションの特徴、こだわり、感覚の違いなどが幼少期から見られます。
ADHDでは、不注意、多動性、衝動性によって対人関係や生活に困難が生じることがあります。
一方、医学的な愛着障害では、幼少期の養育環境や、養育者に対する慰めを求める行動などが重要な判断材料になります。
外見上の行動だけで区別することは難しく、複数の問題が同時に存在する場合もあります。
「愛着障害なのか、発達障害なのか」と自己判断するのではなく、発達歴や生活背景を含めた評価が大切です。

愛着障害は治療できる?支援の基本

子どもの愛着に関する問題への支援では、安全で予測可能な生活環境と、安定した養育関係を整えることが重要です。
本人の状態に応じて、保護者への支援、親子関係を支える心理的な介入、学校や福祉機関との連携などを検討します。
子どもに無理に甘えさせたり、抱きしめたり、信頼を試したりすることが治療になるわけではありません。
本人の安心感や意思を尊重する必要があります。
大人の愛着に関する悩みでは、現在の人間関係や感情の反応を整理し、安心できる対人関係や適切な距離感を身につけていく支援が役立つ場合があります。
必要に応じてカウンセリングや心理療法を検討し、うつ病、不安障害、不眠症などが併存している場合には、それぞれの治療を行います。
愛着障害そのものを直接治す特効薬はありません。

家族はどのように接すればよい?

大切なのは、本人の行動だけを問題視せず、その背景にある不安や困りごとを理解する姿勢です。
叱責や一方的な説得を繰り返すより、安心して話せる関係を少しずつ築いていくことが重要です。
子どもの場合は、毎日の生活に見通しを持たせ、約束や関わり方に一貫性を持たせることも役立ちます。
保護者自身が疲れ切っているときには、ご家族だけで抱え込まず、専門家や地域の支援機関を利用しましょう。

精神科・児童精神科を受診する目安

対人関係の困難によって、不登校、ひきこもり、強い不安、気分の落ち込み、家庭内でのトラブルなどが続く場合には、専門家への相談をご検討ください。
子どもの場合は児童精神科や発達相談窓口、大人の場合は精神科・心療内科などが相談先になります。
本人が受診を希望しない場合には、まず家族だけで相談できる窓口を利用する方法もあります。

港区麻布・麻布十番で愛着や人間関係の悩みを抱えている方へ

Family Total Healthcare Clinic AZABUでは、精神科・児童精神科・心療内科として、お子さまから大人まで、対人関係の困難、不安、気分の落ち込み、不登校や発達に関する悩みなどのご相談を承っています。

愛着に関する問題が疑われる場合も、現在の困りごとや生活背景を伺い、必要な評価や支援について検討します。
ご本人が来院できない場合も、ご家族だけでの相談が可能です。
相談方法や費用の詳細は事前にお問い合わせください。
港区麻布・麻布十番、六本木周辺をはじめ、幅広い地域からご相談いただけます。
人を信頼することが難しい、自分の気持ちをうまく伝えられない。
そんな悩みを、性格だけの問題として片づける必要はありません。
大切なのは、病名を急いで決めることではなく、今の生きづらさを理解し、安心して生活できる方法を見つけることです。